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王子くんは、さばくをわたったけど、たった一りんの花に出くわしただけだった。花びらがみっつだけの花で、なんのとりえもない花……
「こんにちは。」と王子くんがいうと、
「こんにちは。」と花がいった。
「ひとはどこにいますか?」と、王子くんはていねいにたずねた。
花は、いつだか、ぎょうれつがとおるのを見たことがあった。
「ひと? いるとおもう。六にんか七にん。なん年かまえに見かけたから。でも、どこであえるか、ぜんぜんわかんない。風まかせだもん。あのひとたち、根っこがないの。それってずいぶんふべんね。」
「さようなら。」と王子くんがいうと、
「さようなら。」と花がいった。
★この文章を書いた人→大久保ゆう★こんな時間に→2006年08月19日 10:45 ★トラックバック