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2005年11月は、53作品のファイルが公開された。主なニュースとしては「青空文庫本」の出版がある。
【主なニュース】
青空文庫の本が出版された(詳しくはこちら)。これで、青空文庫のことを知る人が増えてくれるといいなあ、と思う。
【公開作品】
2005年11月には、53作品のファイルが公開された。
もっとも多くの作品が公開されたのは岸田国士で、19作品(俳優の素質、俳優養成と人材発見、端役、稽古雑感、兵営と文学、求貸家、せりふ、最もよく系統づけられた戯曲叢書、練習曲、新劇界の分野、新劇協会の更生について、新劇自活の道、新劇運動の二つの道、新劇協会公演に先だつて、新劇の危機、新国劇の「屋上庭園」を観て、大正風俗考、「ゼンマイの戯れ」に就て、「ゼンマイの戯れ」に就いて)。「岸田國士全集 20」に収録された大正末から昭和初期の随筆である。私のお気に入りは「端役」。
北村透谷は、8作品(各人心宮内の秘宮、客居偶録、鬼心非鬼心 (実聞)、秋窓雑記、主のつとめ、心機妙変を論ず、他界に対する観念、三日幻境)公開された。バラエティに富んだ作品群である。これで北村透谷は32作品が公開されたことになる(一覧はこちら)。
泉鏡花は、新字新仮名/旧字旧仮名の重複を含むが、6作品公開された(旅僧、雪の翼、雪霊記事(旧字旧仮名)、雪霊記事(新字新仮名)、雪霊続記(旧字旧仮名)、雪霊続記(新字新仮名))。旧字旧仮名の「鏡花全集」底本のファイルが4つある。総ルビなのでxhtmlファイルがすごいことになっているが、Azurなどの縦書きブラウザで総ルビの鏡花を味わってほしい。「雪霊記事」「雪霊続記」は新字新仮名と旧字旧仮名の二つのファイルが公開されている。出来れば読み比べてみてほしい。
変ったところでは、「鏡花全集」の付録冊子から、水上滝太郎「覚書」、宮崎湖処子「泉鏡花作『外科室』」が公開されている。「泉鏡花作『外科室』」は新人作家としての泉鏡花への批評であり、「覚書」は鏡花への追悼文である。宮崎湖処子「泉鏡花作『外科室』」は、種々の傍点を駆使したテキストなので、出来ればAzurなどの傍点の違いを表示出来るブラウザで読んでほしい。
島田清次郎は今回の公開作品が初登録である(「若芽」)。悲劇の作家、島田清次郎についてはリンク先などを参照。他にも大作が未着手である。公開作品に刺戟されて、入力してくれる人が現れることを望む。
推理小説として、エドガー・アラン・ポー(佐々木直次郎訳)が2作品(メールストロムの旋渦、ウィリアム・ウィルスン)、甲賀三郎が4作品(青服の男、蜘蛛、琥珀のパイプ、黄鳥の嘆き)、公開されている。ポーは、ゴシックノベルという方が正しいかもしれない。
他には、森鴎外が5作品(普請中、文づかい、なかじきり、空車、雁)、太宰治が3作品(佳日、I can speak、灯籠)、菊池寛が1作品(島原心中)、三遊亭円朝が1作品(松と藤芸妓の替紋)、鈴木三重吉が1作品(千鳥)、公開されている。円朝の語り口は、やはりさっぱりとしていてよい。
来月の公開予定には、初登録の仁科芳雄の名前がある。他にもダンテ「神曲」などの大作もあるようだ。5000作品も近いので、今年の締めくくりの青空文庫を楽しみして、この記事を終わることにする。
最後になりましたが、入力してくださった方々、校正してくださった方々に感謝いたします。また、みなさんのお気に入りを、コメント欄で紹介してもらえると、うれしいです。
バックナンバーは、こちら。
★この文章を書いた人→門田裕志★こんな時間に→2005年12月01日 22:36 ★トラックバック「泉鏡花作『外科室』」は、傍点がやたらと多いので、面倒になって飛ばして送ったのを入れ直していただきました。ありがとうございます。お手数かけてすみませんでした。
雪霊記事・雪霊続記は、私と門田さんでタスキ掛けで入力校正したのですが、打合せをしたわけでもないのに、校正申し込みが同じ日でびっくり。門田さん、鏡花の入力の方も、ぼちぼちとお願いしますね。
これで見ると、私は21作品の入力校正に関わりましたが、中でもお気に入りは太宰の「燈籠」。太宰の女性一人称小説は絶品です。外れがない。「きりぎりす」が校了になってますが、これもおもしろい!
クリスマスはアンデルセン「雪の女王」が公開ですか。NHKアニメも放送中で、タイムリーですね。
Posted by: 土屋隆 at 2005年12月02日 00:34土屋さん、コメントをありがとうございます。校正の方で手一杯で、入力が進んでおりませんでした。校正も一段落しそうなので、鏡花の入力にも取りかかります。もうしばらくお待ちを。(そろそろ取りかからないと土屋さんに目覚ましされてしまうなあー、と思っておりました)
Posted by: 門田 at 2005年12月02日 02:53>変ったところでは、「鏡花全集」の付録冊子から、水上滝太郎「覚書」、宮崎湖処子「泉鏡花作『外科室』」が公開されている。「泉鏡花作『外科室』」は新人作家としての泉鏡花への批評であり、「覚書」は鏡花への追悼文である
あの厳しい宮崎湖処子が、新進作家に温かい眼差しが感じられますね。
水上滝太郎の「覚書」は、褒めすぎ・・といいたいところですが、滝太郎という人は、谷崎といい、鏡花といい、耽美的な作家に惹かれる人なのですねえ・・
島清こと島田清次郎の「若芽」は初めて読みました。彼を有名にした「地上」は映画にもなったはずです。リンク先にもかいてありますが、同郷の故杉森久英さんの「天才と狂気の間」だったか??直木賞を取った作品に島清のことが詳しく書かれています。
「島清恋愛文学賞」というのが、島清の地元金沢にあるらしいですよ。